EAU-DE-VIE DE DANTZICK (オオ ド ヰイ ド ダンチツク)
黄金(こがね)浮く酒、
おお五月、五月、小酒盞(リケエルグラス)、
わが酒舗(バア)の彩色玻璃(ステエンドグラス)、
街にふる雨の紫。
をんなよ、酒舗(バア)の女、
そなたはもうセルを著たのか、
その薄い藍の縞を?
まつ白な牡丹の花、
觸るな、粉が散る、匂ひが散るぞ。
おお五月、五月、そなたの聲は
あまい桐の花の下の竪笛(フリウト)の音色(ねいろ)、
若い黒猫の毛のやはらかさ、
おれの心を溶かす日本(にっぽん)の三味線。
EAU-DE-VIE DE DANTZICK
五月だもの、五月だもの――
(Amerikaya-Bar に於いて)
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